コロナ禍での休業
コロナが今までの生活を変えてしまいました。
人とあって、話をして、食事をして、酒を酌み交わす、そんな当たり前の生活すらできません。
飲食店や旅行関係、その他サービス業にも大きな影響を与えています。
ご支援先にも複数の飲食店を経営する会社があります。
この会社でも、コロナの影響を大きく受けていました。
2020年4月、社長は新型コロナウイルスの感染防止のために、店を閉める決断をしました。
休業すれば、少額の給付金や補助金をもらっても、売上にはほど遠い額です。
それでも休業を選択したのは、お客様や社員の健康を優先したからでした。
休業をするわけですから、資金ショートするのは目に見えています。
相当な危機感を感じて、当面の資金繰りをしましたが、借入金が増えるだけです。
そのとき社長は、何か出来ないだろうかと、真剣に悩み、考えました。
コロナ禍の経営戦略
外出自粛をしているいまだからそこ、接触が少ないデリバリーで売上を確保しようと考えたのです。
しかし、社員からは感染の恐れがあるから、デリバリーもしたくない、そんな声も出ました。
そのときに社長は社員にメッセージを伝えました。
「飲食店の存在価値は、お客様に美味しい料理を召し上がっていただくこと。幸せな気持ちになっていただくことだ。外出自粛をしている今だからこそ、美味しい料理をお届けしよう」と。
それでもコロナを恐れる社員は休ませました。
店の営業はしていないので、人員数は少なくても対応できます。
いざデリバリーをはじめると売上は大きく伸びていったのです。
デリバリーは前年の2.5倍以上の売上になりました。
お客様からの喜びの声
売上はもちろんですが、もっとうれしいことがありました。
それはお客様から感謝の言葉が数多く返ってきたことです。
「こんな時期に美味しいお料理を届けてくれて、ありがとうございました」
「コロナで大変だと思いますが、頑張ってください」
「この時期に、美味しいものが食べられるのは幸せです」
これを見て社長はもちろんのこと、全社員が感激をしました。
自分達の仕事は、お客様のためになっている。
社長が言っていた「お客様を幸せにする」ことは、嘘ではなかったと実感できたのです。
経営理念が仕事のモチベーション
お客様に喜んでいただけると、仕事に対する意欲も向上します。
自分達が作った料理でお客様が喜んでくれている姿がイメージ出来ると、もっと喜んでもらえるためにはどうしたらいいのかを考えるようになります。
社員は何も指示しなくても、お互いに協力し合って分担して仕事するようになりました。
お客様が幸せになることは、社員にとってもうれしいことです。それが仕事の原動力にもなります。
売上を作ってくださるのはお客様です。
お客様が幸せな気持ちになれば、自ずと売上は伸びていきます。
コロナでは売上減少に見舞われましたが、お客様の感謝の声で、仕事をやる目的が明確になったことは確かです。
そして、経営理念の意味を実感し、社員全員のベクトルが揃ったことで、社内には一体感が出ました。
コロナ後の新しい価値観の中で
・会社は何のためにあるのだろうか?
・お客さんを幸せにしているのだろうか?
・社員は幸せに仕事をしているだろうか?
根本から会社を見直すいい時期に来ているのではないでしょうか。