どうして、言うの?
心身ともにリラックッスすることは、大切です。
研修の冒頭では参加者が緊張していることも多いため、リラックスして臨めるようにアイスブレイクを入れています。
研修でよく行うのが、最近あった自分にとって良かったことを順番に話してもらっています。
そして、次に話す人が前の人が言ったことの感想を言うようにしていました。
最初の発表者が最近良かったことを「仕事が終わって飲むピールが最高に幸せです」と発表しました。
次の人は「そうですね、仕事終わりのビールはいいですよね。でも、俺飲まないからわからないけど」と感想を言ったのです。
この時、前に発表した人の表情は一瞬曇りました。
なぜ、表情が曇ったかと言えば、自分の意見を否定されたと感じたからです。
「仕事終わりのビールはいいですよね」で止めておけばよかったのです。
でも、つい自分は違うんだ「ビールは飲まない」と言いたくなってしまいます。
自分の考えや価値観と合わないことに対しては、どうしても自分は違うんだと自己主張したがるんです。
しかし、そんなことを言っていたら、お互いの関係性はよくはなりません。
価値観を出さない方法
研修でのことですから、2人の間にはそれほど大きな溝はできませんが、こんなことが続いたらどうでしょう。
お互いに相手を嫌な奴だと思い、関係性は悪くなってしまいます。
関係性が悪くなれば、お互い協力しようとは思いません。
協力しなければ、仕事はうまく進まなくなります。
よくある会話では
「君はそう考えるんだね、僕はそうは思わないけど」と言ってしまうことがあります。
これでは相手を否定したことと同じです。
否定されれば誰だって面白くはありません。
そんなときには、自分の価値観を出さないようにすればいいんです。
「なるほど、君はそう考えるんだね」で止めておけば、相手を否定したことにはなりません。
相手は、ちゃんと話を聞いてくれたんだと思います。
ここで止めておけば関係性は決して悪くなるどころか、逆に良くなります。
しかし、つい自分の考えを言ってしまいそうになります。
そんな時には、「君はそう考えるんだね」と言ったあとに一呼吸入れると、案外言わなくなるものです。
相手の価値観を認める効果
ただ、上司と部下の関係では、上司は自分の意見を部下に言いたくなってしまうものです。
「なるほど、君はそう考えるんだね」では、仕事が進まないと思われこともあるでしょう。
そのときは「なぜ君はそう考えたんだ?」と聞いてみます。
部下が考えた理由もわかりますし、部下は上司が話をしっかり聞いてくれれば、自分は認めてもらっていると感じます。
自分は認められていると感じれば、関係性はよくなります。
さらに、上司が意見を聞いてくれたんだから、部下も上司の意見を聞く耳を持ち、意見を受け入れやすくなります。
仕事も上手く進むようになり、モチベーションもアップします。
落語家で三人目の人間国宝となった柳家小三治師匠の著書「落語家論」の中に価値観についての文章がありました。
「われわれは得てしてひとに自分を押しつけたがるが、ひとを理解してそれぞれの立場を一応は納得してあげられるという努力をすることが、何よりの勉強だと僕は信じている」
けだし名言だと思います。
社内の関係性をよくするためには、まず相手を認めることからはじめませんか?