店長次第で売上は伸びる
売上を伸ばせる店とそうでない店には大きな差があります。
それは、店を運営する店長の能力の差です。
あるチェーン店でのことです。
売上不振にあえぐ店があって、月商は非常に低迷していました。
店長に「今月の売上はいくらですか?」と聞いたところ、すぐに答えは返ってきません。
パソコンを開かなければ売上がわからなかったのです。
今月の売上もわかっていないようであれば、売れる訳がありません。
社長は、早速異動を命じました。
新しく赴任した店長は、売上のデータなどを見て驚きを隠せませんでした。
それは、店の商圏の市場性を考えたらもっと売れていいはずと考えていたからです。
早速、新店長は様々なデータを分析しました。
すると、既存客へのアプローチや販促量が少ないことに気付いたのです。
既存客へのアプローチや販促量の問題であれば、売上は上げられるだろうと考えて、すぐに実行に移しました。
すると半年後には、前店長の1.8倍の売上にすることができたのです。
店長を変えただけで、これだけ売上の差が出ました。
売上を伸ばす店長の3つの能力
前店長と新店長にはどんな差があったのでしょうか?
そこには店長に求められる3つの能力が関係していたのです。
1.売上を伸ばす店長は、数字に明るい
店の営業努力の結果はすべて数字に表れます。
売上、客数、客単価、商品別売上、時間帯別売上、客層などの数字を読み取って、次にどのような対策を実行するのが店長には求められるのです。
数字に関心がない店長は、それもできません。
理由がわからない以上、何も手を打つことはできず「売上が伸びないね。何とかしなくては」と口だけになってしまいます。
数字を見て、どうしてそうなったかの理由を考えて、対策が立てられる能力が店長には必要です。
新任の店長であれば、数字を見て、なぜその結果になったのか、考える習慣をつけることからはじめます。
2.売上を伸ばす店長は、コツコツ継続できる
対策をたてて実行しても、すぐに結果が出るとは限りません。
やってみてダメだったから諦めるでは、店長としては力不足です。
前店長は、既存客のアプローチをしてもすぐに結果が出なかったので量を減らしました。
それでいいのでしょうか?
1回だけのアプローチでは反応しないお客様もいます。
アプローチの内容を換え、回数を増やせば反応率が上がることもよくあることです。
アプローチをする時期を変えれば反応率も変わってきます。
予算内であれば、方法を変えて、コツコツとチャレンジすることが、売上を伸ばす店長に求められます。
3.売上を伸ばす店長は、自分で考えて行動できる
道路状況によって納品の時間がピークタイムになることもあります。
いくら売れ筋商品があるからといって、納品を優先してしまえば接客は雑になってしまいます。
一般的には、売れ筋が入ってくれば納品を優先したくなるものです。
そのときに、あえてスタッフに接客を優先するよう指示した店長がいました。
その結果、お客様は接客によって満足度が上がり、売上は伸びしました。
天候や来店客数によっても、接客対応の仕方も変わってきます。
商品の陳列やPOPカードをかえることによって売上は変わります。
その場その場で、経営理念に基づいて、店長が臨機応変に考えて適切な指示を出すことでお客様の満足度は変わります。
この3つの力を身につけるには、店長の能力だけに頼りっきりでは、会社としては成長しません。
前回のコラムでも書いたように、店長に必要な資質を持ってもらうために、会社としての教育訓練は必要です。
しかし、教育だけでは限度があります。
店長の能力を最大に伸ばすことができるのは、自ら意欲をもって仕事に取り組める環境を作ることです。
その基本となるのが、店長の能力を正当に評価し、強みを徹底的に伸ばして行くことが、自分で考え、行動できる原動力になります。