ぶれない経営
社長の人生理念と経営理念
ある会社の経営理念は「健康で幸せに暮らせる社会に貢献する」です。
社長は経営理念ができた理由を話してくれました。
「農薬や添加物を使えば、安い食材は手に入りますが、それが人間の身体によいとは思えません。食べ物が人間の身体と健康を作ります。
有機農法で栽培した野菜や添加物のない美味しくて健康にもよい食材を提供することは、お客様や社会に貢献することなんです」
「しかし、お恥ずかしい話ですが、以前は売上に執着していた時期もありました。
そのときは社内の雰囲気も悪くなってしまい、私も余裕がなくギスギスしていたと思います」
それがどうして現在の経営理念にされたのかを伺うと
「子供にアトピーがあって、苦労しました。他の子が遊んでいるときに、体中がかゆくて一緒に遊べなかったのを見ているのは本当に辛かったんです。食べるものにも気を遣いました。
おかげ様で子供も良くなりましたが、私たちは、食品を扱っている会社です。
だから、アトピーなどで苦しんでいる人達が、食品を通じて健康になって欲しいとの思いから、健康を考えた経営をしようと考えたのです」
と明快に答えてくださいました。
経営理念を実践
お子さんのアトピーによって社長の価値観が大きくかわりました。
社長の人生理念の中で「健康」が大切なキーワードになったのです。
しかし、健康によい食品を扱えばコストが高くなりますから、販売価格も高くならざるを得ません。
価格は少し高いけれども、商品のよさを理解してもらえば購入してくれるお客様は増えていきます。
そのために、商品知識などの研修や読書会も定期的に実施して、社員の教育にも力を入れています。
また、取引先にも啓蒙活動を続けています。
会社を経営していく上では、売上・利益は必要です。
売上・利益は支店を増やして行くための原資であり、企業規模を拡大していくことが、健康に良い商品を多くの方に広めて行く手段であり使命だと社長はお考えです。
ぶれない経営
これほどぶれずに経営が出来るのはなぜなのかを伺うと
「大変なことがないとは言いませんが、今はお客様お客様の健康に貢献していること、お客様が喜ぶ姿を見られること、社員が笑顔でイキイキと働いていることの方が、売上だけを追求するよりうれしいですし、仕事も充実します。
仕事を幹部に任せられるようになったのも大きいですけどね」
と社長はおっしゃいます。
経営理念が社長の思いの根っこの部分から出来ていると、経営はぶれません。
社長の心の奥底からの思いがこもった理念であれば、社員の心を動かします。
そして、経営理念を実現することは、社長自身の思いが実現することでもあるのです。